動かなくなった機械は、とりあえず一回たたく。
テレビの横、ラジオの上、洗濯機のフタ。
なぜか強く叩くほど、本気で直そうとしている感じがした。
本当に直ることも、たまにあった。
理由は分からない。
でも直ったなら、それでよかった。
ファミコンも同じだ。
映らないときは、カセットを抜いて、息を吹きかける。
今思えば意味はないらしいけど、
あれで復活すると、ちょっと誇らしかった。
あの頃、機械の中身は分からないものだった。
だから、たたいたり、吹いたり、
自分が関わった痕跡を残すしかなかった。
今の機械は、触らない方がいい。
理由も仕組みも説明されている。
その代わり、「とりあえずやってみる」余地は少ない。
たたけば直ると思っていたのは、
機械じゃなくて、
止まったままにしたくない気持ちだったのかもしれない。
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