昔は、
電気を消すと、
部屋が本当に暗くなった。
うっすら明るい、という感じじゃない。
何がどこにあるか、
分からなくなる暗さだった。
目が慣れるまで、
そのままじっとしている。
動くと、
どこかにぶつかりそうで、
自然と静かになる。
外の明かりも、
今ほど多くなかった。
カーテンの隙間から入る光も、
ほとんど頼りにならない。
暗くなったら、
一日が終わる。
そんな区切りが、
ちゃんとあった気がする。
今は、
電気を消しても、
完全には暗くならない。
画面の光や、
外の明かりが、
どこかに残っている。
昔が不便だった、という話ではない。
ただ、
電気を消すと本当に暗くなった頃は、
考えることも、
動くことも、
自然と止まっていた。
あの暗さは、
眠る前の準備というより、
一日を終わらせる合図だったのかもしれない。
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