うちの家は、
あまり外食をする家じゃなかった。
特別な理由があったわけじゃないと思う。
ただ、日常は家で食べるのがあたり前
という空気が、
自然にあった。
だから、
いとこが遊びに来る日だけ、
連れていってもらえた店が、
自分にとっては特別だった。
ハングリータイガー。
いつもより少し明るい店内。
鉄板の音。
待っている時間。
味の細かい記憶よりも、
「今日はここに来ていい日なんだ」
という感覚のほうが、
今もはっきり残っている。
あの店は、
自分にとっての外食というより、
ご褒美だった。
何かを頑張ったから、
という理由でもなく、
ただ、そういう日だったから。
思い出は、
味よりも、
そのときの空気で残るものなのかもしれない。
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