子どもの頃、
夏休みになると、
父の会社の保養所に連れて行ってもらった。
場所は伊豆だったと思う。
細かいことは、
あまり覚えていない。
でも、
行くこと自体が、
毎年の行事みたいになっていた。
特別に豪華だったわけでもないし、
観光地をたくさん回るわけでもない。
同じ建物で、
同じような部屋に泊まって、
同じような時間を過ごす。
それでも、
夏休みにそこへ行く、
ということが、
ちゃんと楽しみだった。
海に行ったり、
近くを歩いたり、
あとは何をしていたか、
正直あいまいだ。
でも、
「今年も来たな」という感じだけは、
はっきり残っている。
今思えば、
あれは旅行というより、
季節を確認する場所だったのかもしれない。
夏休みになったことを、
ちゃんと実感するための、
ひとつの区切り。
父の会社の保養所に行く、
という思い出は、
場所よりも、
夏そのものと一緒に残っている。
コメント